天地がまだ脂のように漂い、世界がかたちを持たなかった時代。
混沌の大地から、葦の芽がぐんと生まれ出るように現れた神がいました。
その名は、宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)
天地開闢の初期に誕生した「別天津神(ことあまつかみ)」の一柱であり、生命が芽吹く瞬間のエネルギーそのものを象徴する存在です。
造化三神が宇宙と天地の枠組みを整えた後、そこに命を吹き込む役割を担ったとも言われている、この原初の生命神について解説します。
神様の基本情報

名前(正式名・別名)
宇摩志阿斯訶備比古遅神
(うましあしかびひこぢのかみ)
別表記:宇摩志阿斯訶備比古遅命、可美葦牙彦舅尊(『日本書紀』一書)
主なご利益
・生命力、活力の向上
・農業守護、五穀豊穣
・開運招福
・健脚祈願、足腰の健康
・交通安全
・病気回復(特に足の病)
所属する神系譜
別天津神(ことあまつかみ)の第四柱。
造化三神が身を隠したあと、混沌とした大地に初めて生命の芽をもたらした神。
神格と性質(象徴)
・性質:生命の萌芽、活力、発展、エネルギー、繁殖力
・特徴:原初の生命神/人格神的性格を持つ
(日本書紀一書に「始めて神人有り」と記される)
神様を表すシンボル(動物・アイテム・色など)
・葦(葦の芽/葦牙)
・水辺・湿地・土壌
・若芽・緑・萌黄
・足・脚(健脚祈願と結びつく)
登場する神話・物語
登場神話
『古事記』天地開闢において、造化三神に続いて出現。
『日本書紀』本文には登場せず、一書に「可美葦牙彦舅尊」などの異名で記される。
関連神話のあらすじ
天地の始まり、世界がまだ水に浮かぶ脂のようで形を持たなかったとき、大地から葦の芽が萌え出るようにして宇摩志阿斯訶備比古遅神が現れた。
造化三神が宇宙と天地の概念を創ったあと、この神が初めて「生命の芽吹き」をもたらしたとされる。
ゆかりの神社
【全国の代表的な神社】
- 出雲大社(島根県出雲市)…本殿(御客座)に祀られ、国造り神話と関連
- 髙見神社(愛媛県今治市)…育成・繁栄の神として祀られる
- 宇治神社(三重県津市)…足腰の守護神(足神さん)として信仰される
神様のエネルギーとメッセージ
エネルギーの質
- 萌え出るような強い生命力
- 原初の混沌を突き破る推進力
- 成長や発展を後押しする上昇エネルギー
日常生活へのメッセージ
- 新しいことに挑戦したいとき
- 疲れや無気力を感じているとき
- 芽が出るまで努力を続けたいとき
→ 宇摩志阿斯訶備比古遅神は、「芽吹く力」と「一歩踏み出す勇気」を授けてくれます。
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