天地がまだ混沌としていた時代、世界に命を芽吹かせる力をもって現れた神がいました。
その名は、高御産巣日神(たかみむすひのかみ)。
天之御中主神につづいて誕生した造化三神の一柱であり、
後には高天原の「司令神」として、国譲りや天孫降臨、神武東征など、日本神話の重要な節目で活躍をする神様です。
万物を結び、育て、未来へとつなぐ生成の神。
今回は、かつて皇祖神とも考えられていた高御産巣日神について、その神話とご利益をわかりやすくご紹介します。
高御産巣日神の基本情報

名前(正式名・別名)
高御産巣日神(たかみむすひのかみ)
別名:高皇産霊尊(たかみむすひのみこと)
ほかに「高木神(たかぎのかみ)」「高木大神」「神王高御魂命」「高魂命」など多数の別名がある。
読み方
たかみむすひのかみ(清音で「ひ」と読むのが通説)
主なご利益
・生成力・創造力の活性化
・開運招福・無病息災・延命長寿
・五穀豊穣・子孫繁栄
・縁結び(人と人・物事と物事を結ぶ)
・国家安泰・事業発展・学業成就
※これらは皇室祭祀や古代からの信仰、神名「むすひ」の性格に基づいて伝えられている。
所属する神系譜
天津神(あまつかみ)
造化三神の一柱であり、天地開闢の際に高天原に現れた最初期の神。
天之御中主神、神産巣日神と共に「造化三神」を構成する。
神格と象徴
・神格と性質(象徴):生成・創造・繁栄・秩序の神、司令神、皇祖神
・神様を表すシンボル:太陽、生命力、稲穂、霊剣(布都御魂剣)、八咫烏、結びの紐
登場する神話・物語
登場神話
『古事記』の「天地開闢」にて、天之御中主神に続いて出現する。
一度身を隠すが、後に高天原の司令神「高木神」として再登場する。
関連神話のあらすじ
・国譲り:天照大御神(アマテラスオオミカミ)と共に地上の平定を画策し、大国主命に国を譲らせるための神々の派遣を指揮する。
・天孫降臨:邇邇芸命(ニニギノミコト)を地上に派遣する際、神々に命令を下し導く。
・神武東征:神武天皇が熊野で窮地に陥った際、霊剣「布都御魂剣」を授けさせ、八咫烏を遣わして道案内をさせた。
印象的な特徴
・単なる創造神にとどまらず、「政治的な司令神」として神々に命を下す立場にある。
・『日本書紀』では天照大御神よりも主導的に描かれ、本来の皇祖神だった可能性があると言われている。
ゆかりの神社
【全国の代表的な神社】
- 高木神社(東京都墨田区)
- 高木神社(東京都葛飾区)
- 高城神社(宮崎県都城市)
- 安達太良神社(福島県二本松市)
【関東・千葉県の神社】
- 東京大神宮(東京都千代田区)…明治期創建、天之御中主神とともに祀られる
- 天神社(南房総市白浜町滝口)…高御産巣日神と神産巣日神が主祭神
【皇室ゆかりの祭祀】
宮中八神殿…国家祭祀で祀られる神
宮中八神殿(きゅうちゅうはっしんでん)は、皇居内にある神殿で、国家の安泰と天皇の守護を祈るために特に重要な八柱の神々をお祀りしています。
高御産巣日神はその第二神殿に祀られており、皇室にとって重要な神の一柱とされています。
神様のエネルギーとメッセージ
エネルギーの質
・生命を芽吹かせ、あらゆるものを結びつける創造的エネルギー
・静的な秩序というより、動的な発展や生成の力
・調和と統合をもたらし、物事を前に進める推進力
日常生活へのメッセージ
・新しいプロジェクトや人生の転機に立つとき
・人や環境とのつながりを再構築したいとき
・自分の内なる創造性や行動力を引き出したいとき
→ 高御産巣日神は、「芽吹かせ、結び、育てる」エネルギーで、前進する力を授けてくれます。
関連リンク・関連記事
神話解説記事
- 天地開闢(古事記)
- 国譲り・天孫降臨【未公開】
- 神武東征【未公開】
関係の深い神
- 天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
- 神産巣日神(かみむすひのかみ)
- 天照大御神(あまてらすおおみかみ)
神社紹介(リンク)


