前回は、古事記ができるまでをご紹介しました。
天武天皇や稗田阿礼、元明天皇と太安万侶など色々な方の想いが合わせって古事記は作られていましたね。
今回は、古事記がどのようにまとめられているのかを見ていきましょう。
古事記は上つ巻(かみつまき)・中つ巻(なかつまき)・下つ巻(しもつまき)の三巻で構成されており、「神話➡歴史」という大きな流れを描いています。
古事記は「神々の時代 → 天皇の始まり → 国家の発展」という3つの話で作られています。
これは単なる歴史の整理ではなく、天皇の血統が神々に連なることを示し、神道と国家を結びつけるための物語構成となっているのです。
上つ巻『神々の世界と日本のはじまり』

上つ巻(かみつまき)は、天地がまだわかれていない、何もない混沌の状態からスタートします。
やがて「天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)」ら、天地の根本を創造する神々が誕生し、世界の秩序が形づくられていきます。
その後、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)・伊邪那美命(いざなみのみこと)が登場し、海をかき混ぜて「淤能碁呂島(おのごろじま)」を作り、次々と島や神々を生みだしました。
この「国産み」の神話は、日本列島そのものが神聖であることを示す物語です。
また、天照大神(あまてらすおおみかみ)が天岩戸に隠れる神話、須佐之男命(すさのおのみこと)が八岐大蛇を退治する物語、大国主神(おおくにぬしのかみ)の「国譲り」なども上つ巻に描かれています。
これらは神社の祭祀や神道の信仰の根幹となっており、今も全国の神社に生き続けています。
上つ巻は、「神話を通じて世界と国家の始まりを語る巻」 であり、古事記の魅力を最も強く感じられる部分です。
中つ巻『初代天皇から建国の物語』
中つ巻(なかつまき)は、いよいよ人の時代、つまり天皇の時代に移ります。
中心となるのは初代・神武天皇の東征です。
故郷の日向から大和の地を目指し、八咫烏(やたがらす)の導きによって奈良・橿原に到着し、ここで即位します。
これが日本の建国神話とされています。
下つ巻『歴代天皇と国家の礎』
下つ巻(しもつまき)では、16代仁徳天皇から33代推古天皇までの歴史が描かれています。
特に印象的なのは、仁徳天皇の逸話で「民のかまど」という話です。
点央が国中を見回り、かまどから煙が立っていないことを見て
「民が貧しいのではないか?」と憂い、自らの贅沢を控えて民の暮らしを助けたという話です。
仁徳天皇は「聖帝」と称され、庶民思いの象徴とされました。
また、推古天皇は日本初の女性天皇として記録され、かの有名な聖徳太子と共に政治を行った時代です。
ここまでで古事記は終わりを迎えます。
下つ巻は、「神々から受け継いだ国を、歴代のt年央が守り育てていく姿」を描く巻です。
古事記の終わり、それは同時に日本国家の基盤が整えられたことを示していているのでしょう。
次回予告

古事記は三巻構成で、日本のはじまりから国家の基盤形成までを物語として描いています。
次回からは、それぞれの巻をさらに詳しく見ていきましょう。まずは上つ巻 『天地開闢の物語』を取り上げます。